
阿弥陀如来が住む世界、浄土。そこには珍しい生き物がたくさん住んでいます。例えば6種類の珍しい鳥がいます。白鵠、孔雀、鸚鵡、舎利、迦稜頻伽、共命鳥と呼ばれる珍しい鳥です。
どれもキレイな鳥でそれぞれ特徴があります。孔雀や鸚鵡などはこの世でも見ることができますね。
その中でも共命鳥(ぐみょうちょう)という鳥はこの世に存在しないので、みた事がありません。浄土に住む鳥だと言われていますが、どんな特徴があるのでしょうか?今回は共命鳥にフォーカスしてみます。
共命鳥は、頭が2つあり、体は1つの鳥だと言われています。
それぞれの頭には各々の自我があり、いつも一緒に行動していますがケンカをすることもあるそうです。
片方が眠っている時はもう片方が起きていて交代に眠ることが多いようです。
エサを食べる時はそれぞれの頭が別々に食べますが、胴体は1つなので胃袋は共有しています。
今回お話するのは、ある共命鳥の話です。
「ケンカばかりの共命鳥 カルダとウバカルダ」
浄土の世界に、とある共命鳥がいました。
名前はカルダとウバカルダ。2つの頭にそれぞれ名前がありますが、胴体は1つです。
体が繋がっているのでいつも一緒に行動していますが、あまり中はよくありませんでした。
そのため、片方が眠っている時はもう片方が起きて行動し、交代で眠っていました。ある日、ウバカルダが眠っている時にカルダがとても美味しいエサを食べました。目覚めたウバカルダは起こりました。「何で一人でおいしい思いをするんだ!」
しかし、怒られたカルダはお腹がいっぱいなのでそのまま寝てしまいました。
怒ったウバカルダは寝ているカルダを殺してしまおうと考えました。
ウバカルダは、眠っているカルダに「一人だけ美味しい思いをしやがって」と言いながら毒の実を食べさせました。
毒の実を飲み込んだカルダは驚いて目をさましました。
「なんだか気分が悪くなってきた」先にそういったのはウバカルダの方でした。
彼らは頭は2つですが、体は1つ。つまり胃袋は共用なのでウバカルダにも毒が回ってきたのです。
目をさまして意識がはっきりしてきたカルダも体の異変に気づいてきました。
「昨日は美味しいものを独り占めしてごめん、いっぱい食べれば2人分の栄養になると思ったんだ」とカルダは言いました。
カルダが、2人の為にエサを食べてくれていた事をウバカルダは知りませんでした。
ウバカルダは言いました「僕の方こそごめん。実はお前に毒の実を食べさせたんだ、お前がいなくなればエサを独り占めできると思って」
しかし、毒が体にまわりカルダとウバカルダは死んでしまいました。
人間は助け合いながら、共に生きなければならないのに「あいつさえいなければ」という感情がわく事はありませんか?
結局それは自分自身を苦しめる事になります。自分さえよければいいという考えが自らを滅ぼすという話でした。